空中庭園  ~ Hanging Gardens ~

完全栄養食品ソイレント:Soylent の紹介 ~ 誕生秘話 ~



ソイレント(Soylent)、徐々に知名度を増してきていて知っている人も結構増えてきていますが、それでもまだまだ知らない方は多いのではないでしょうか。


恐らくこれから更に有名になってくるこの「ソイレント」について、その生い立ちや現状などを分かる範囲でまとめてみました。


ソイレント(Soylent)という言葉


まずはこの"Soylent"という言葉の語源に辿って行くと、大豆(Soybean)とレンズ豆(Lentil)を元にした造語という話があります。


これは1973年に『ソイレント・グリーン (Soylent Green)』という映画で広く認知された言葉で、もとはHarry Harrisonの著書である『Make Room! Make Room!(人間がいっぱい)』に辿りつくようです。


『ソイレント・グリーン』は古い映画なので私自身も見たことも聞いた事もなかったわけですが、今から1年半くらい前に、Solyentのプロジェクトが立ち上がり、活動を始めた頃に初めて耳にしました。
※ スクウェアのゲーム、『ゼノギアス』で、ソイレント・グリーンが元ネタのソイレントシステムという言葉が登場したので、こっちは知っている人が多いかも知れません。


映画の方は今度機会があったら見てみたいと思います。


簡単に背景だけ説明すると、時代は2022年(実はもうすぐですね!)、爆発的な人口増加により食糧危機に陥っています。


この映画で出てくるものとして、"ソイレント・レッド"(従来食品)、"ソイレント・イエロー"という言葉も出てきますが、 海中のプランクトンで作られたとされる画期的な高栄養化で美味しい新食品の"ソイレント・グリーン"が登場します。


人工が多すぎるため配給性で充分に行き渡る事もできませんが、内容としてはこのソイレント・グリーンに関わる秘密や巻き起こる殺人事件・・・というような感じです。


ソイレント・グリーンの内容をwikiや紹介しているブログ等で調べると映画のネタバレまでが簡単に出てくるので、映画を見ようと思っている方は検索しない事をお勧めします。

※ Tsutayaでも扱ってます


Soylent 誕生のきっかけ


さてさて、前置きが長くなってしまいましたが話を戻して、このソイレントというのは「飲むだけで栄養を全て補う事ができる」、いわゆる完全栄養食品を目指して作られた製品(食品)です。


創始者はアメリカ人のロブ・ラインハート(Rob Rhinehart)さん(Soylent corporation CEO)で、今よく利用されているクラウドファンディングの1つ、「Kickstartar」にて基金を募ったところ、目標金額とされていた1ヵ月で10万ドル(約1200万円)に対し、なんと大幅に上回る200万ドル(2億4000万円)以上も集まってしまったといいます。


この時点で今に至るまでの成功の道が約束されていたのかもしれませんね。


Gigazineさんは当初から特集をしていたのでよく記事を拝見させて頂きました。 参考までに当時の記事をご紹介します。
※ 他にも多くの記事で紹介されていますのでご参考に

肉や野菜を食べずに生きられるようにする新たな食品「ソイレント」とは? ( 2013年05月22日)(別ウィンドウで開きます)



結構考えたりする事が多いのではないでしょうか、なかなか興味深い題材だと思います。


むしろそれまでに誰もやっていなかった、登場していなかったというのも実は奇跡的だったのかもしれません。


生い立ち


もう少し原点を遡って、ではロブさんはなぜソイレントを作ろうと思ったのでしょうか?


実はこのロブさんという人物、もともとはIT・技術系の出身で、ジョージア工科大学を卒業後に友人2人とともに、ベンチャー分野で一旗上げようと頑張っていました。


具体的には携帯電話(Wi-Fi)の電波塔(インフラ)を発展途上国でも導入できるような低価格で実現する事を目標に、Y Combinator というベンチャーキャピタル?のような所へ応募していたようです。


ここでは数百人の投資家の前でプレゼンを行い資金提供を受けるのですが、 反響は悪く、17万ドルの資金提供を受けている中の10万ドル使ってしまった段階で、いよいよ先の見えない状態に陥ったようです。


そんな追いつめられた環境で、生活は当然経済的にも時間的にも余裕がなくなってしまい、 食事のお金も切り詰めて、時にはマクドナルドの 1$バーガーや5$ピザで乗り切ろうとしたこともあったようですが、さすがに無理があったのでしょう。


健康を害さないように今度は食事をケール(青汁でよく使われている主材料で、栄養たっぷり。日本ではこのケールが結構高いのですが、アメリカではとても安いようです)で凌ごうともしたようですが、さすがに野菜だけでは空腹が満たされませんね。(エネルギーも全然足りないでしょう)


そんな状況に追い詰められた時に、 研究対象が完全に切り替わっていったのでしょう。


もともと理系で技術畑のロブさんは、 栄養生化学(nutritional biochemistry)の教科書や食品医薬品局(F.D.A.)、米国農務省(U.S.D.A.)、米国医学研究所などのサイトで勉強して、人間に必要な栄養素を、原料となる化学物質を取り寄せて試行錯誤を繰り返した結果、液状のSoylentに至ったという事です。


※ 栄養素という観点からではなく、栄養素を化学物質の観点として扱っています


全部英語の海外サイトですが、この辺りの事からSoylentに関わる物語を詳しく書いたサイトを紹介しますので、 原文でも興味があるという方は是非読んでみてはいかがでしょうか? THE NEW YORKER(別ウィンドウで開きます)


日本語記事(このブログも含めます)からは全く分からない、彼の信念や主義みたいな所も原文からは読み取れるかもしれません。


膨大な量なので全訳してからのまとめなどは大変なので行っていませんが、 希望などありましたらもう少し詳しく紹介したいと思います。


試作段階では栄養分が足りていなかったりといろいろ問題もあったようですが、 現在のバージョン1.4 になるまで改良に改良を重ねられています。


いや~~~、実は結構な物語ですね!!


実はこのソイレント、当時からレシピも公開していて誰でも作れる状態だったのですが、逆にそれがマーケティングとして良かったようで、今日までの成功の道を歩んできています。


簡易年表


参考までに、今どの程度まで進んだかを時系列で簡単に紹介します。


2013年5月 クラウドファンディングで資金調達

2014年4月11日 初めての製品出荷(Batch1 Shipping (米国内のみ)) ※ 人気殺到でこの時点から今日にかけても大幅に出荷が遅れています Soylent 1.0 の価格は1週間パックで65ドル、4週間パックで255ドル

2015年1月15日頃 新たに2000万ドルの資金提供を受け、生産量を50倍に拡大へ

2015年3月7日現在(記事を書いている日) ソイレントのバージョンが少しずつ上がっていて、今はSoylent 1.4のバージョン。販売はまだ米国内のみとなっています。 今注文しても届くまで半年近く(公式サイトには4~5ヵ月と記載)かかるようです。


Soylent 1.4 の価格は1週間パックで85ドル、4週間パックで300ドルとなっていて、ちょっと値上がったでしょうか。





ただ、今後大量生産が可能になるため少し価格は下がってくるかもしれません。


食事というのは生きていくうえで最も重要な事柄の1つなので、このソイレントが良いかどうかは賛否両論が別れる所だとは思います。


とはいえ、全部Soylentで済ませてしまえという話ではありません。


個人的にはとても興味があり、ぜひとも早く日本でも手に入れられるようになって欲しいと思っています。


ここで予想ですが、 日本で輸入代理店等(法律的にはグレーっぽいかもしれません)での販売が1年後くらいに行われたりするようになり、同時期にアメリカ以外の国で買えるようになり、2年後くらいには日本でも販売のための準備が始まって、3年後くらいには法人ができるか正規代理店が登場して、ようやく個人でも簡単に購入できるようになるのではないかと思います。


もちろんまだ登場して間もないものですし、また使われている原料は本当に大丈夫なのか・・・など気にしてみたら膨大に調査や勉強、時に専門家の意見や最先端の情報が必要になりますが、 それを言ってしまえば今食べているものの殆どが経験的に大丈夫と思っているだけの食品しかないのではないかとも思います。


食品偽装(産地や原料)の問題はいつまで経ってもなくなりませんね・・・


簡単に覚えているだけでも、
1. 異物混入(虫だけでなく、食べられない物質(金属片やビニール等))
2. 産地偽装:(海外のものを国産表示や、国内でも震災以降は東北産を九州産等として偽装される事が多くなりました)
3. 消費期限・賞味期限の偽装
4. 生産工場の実態(鶏やガチョウ(フォアグラ))※ 検索注意
5. 阪急百貨店(阪急阪神ホテル図)でさえ偽装
6. 牛のレバ刺しが禁止されたら、もっと危険な豚のレバ刺しを出して、やっぱり肝炎が激増して今年の1月になってようやく規制
※ 危険だと知らなければ頼んで食べてしまうのではないでしょうか
7. O157やノロウィルス等

と、まだまだ出てきそうですが、注意してもし過ぎる事はなさそうですね。


問題というのはどうしても絶対出てしまうものなので、その事事態には仕方のない事だと思いますが、食べ物とは自分の体の一部になるものです。


悪質な偽装や問題が発覚してからの酷い対応が多いのは如何ともしがたいですね・・・。


良くなるためにはどうすればよいのか・・・どうなればよいのかなかなか見当もつきませんが、これから先はゆっくりでも良いので確実に良くなっていけることを切に願っています。


そんなことも有るので、食事の選択肢として1つの新しい形態、今までは栄養補助食品という事でサポート的な位置にありましたが、それだけを摂取していれば大丈夫というSoylentが登場するのは喜ばしい事だと思います。


Soylentのあり方についてはまたどこか別の機会で考えてみたいと思いますが、 今日のところはこのSoylentについての紹介までとなります。

○ Soylent公式サイト ソイレント公式ページへ(別ウィンドウで開きます)

0 Responses

    コメント

    Pick Up!